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パリの中の文化衝突2

少し前になりますが、以前住んでいたパリ19区へ数年ぶりに訪れたときのことです。なんとなく以前と違う雰囲気が感じられ、なぜだろうと主人と話していました。19区のBellevilleと呼ばれる界隈には中国人がたくさん住んでおり、通りも中国語の看板でいっぱい。ところが、中国人に混ざってマグレブ系の人たち(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)が前よりかなり増えているように感じたのです。

そして最近このBellevilleで起こったある騒動を知りました。

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2010年6月20日、パリの中でもあまり目立たない外国人コミュニティーで中国人たちによる大きな街頭集会が行われた。彼らの掲げる旗には、「全ての人間に安全を」「静かで穏やかなBellevilleを」「暴力反対」などと書かれている。行進が終わりに近づこうとしたときには警察と対立し合う場面も。

では、なぜこのような騒動に?

実際、ここ数年この界隈では多くの中国人が暴力的襲撃の被害者となっている。2010年6月1日から2日にかけての夜に行われた結婚式では、深夜、招待客が帰ろうとした際に出口で待っていた若者グループが5人の客に次々と襲撃。狙っていたものは、中国人の結婚式で客人に渡される現金の入った赤い封筒。

結婚式が行われていた会場の中国人ボディガードがこの騒動で、強奪犯の足に発砲し追跡することができたのだが、警察に捕まり投獄。怪我をした犯人は病院へ運ばれ、うわさによるとそのまま解放されたということ。このことが、Bellevilleに住む中国人たちの怒りをさらに刺激してしまったのである。

Bellevilleのある警察官は、「コミュニティー間にどんどん悪い雰囲気が漂う中での余分な騒動である。ここ数ヶ月複数のアジア系組合団体からの問い合わせが続いている。でもどうしようもない。この状況背景には、中国人の若者がネットでマグレブ人やアフリカ系アンティル諸島の人々に対して敵対発言をした問題もある。中国人はこれらの人々を襲撃犯として見ており、またマグレブ人は中国人に対して同じような感情を抱いている。解決法が見つからないままでBellevilleは過熱してしまっている。

6年間Bellevilleに住むある中国人女性はすでに2回強奪にあっている。「もう我々はうんざりしている。警察はきちんと仕事をしてほしい」と。「もう何年も中国人のみならず他の住民も暴力を増す襲撃の被害にあってきている。我々は恐れながら日々暮らしている。この状況を止めなければ。6月20日のデモ行進がいい例である。しかし、行進の最後に、ある若者がハンドバックを盗もうとしたところ、仲間たちが自分たちを弁護し彼を機動隊に引き渡した。その後、機動隊は何も状況をよく考えずに、中国人にガスを使ってその犯人を逃がしたのだ。これは普通ではない。フランスには正義がない。」

「犯人は楽に手に入る金品を狙っているのであって、中国人を狙ったものではない」と、言う人もいるが、それでもやはり襲撃犯たちは被害者の実状をよく研究している。とりわけ中国人の? 例えば、ある中国人たちが行政上違反した状況にあり銀行に口座を持たず現金で給料が渡されているという事実。身分証明書のない状態では、警察に届出を出すようなリスクもかけられないし、言葉の壁もあり、フランスの法に対しても知識がなく、お祭りには祝儀袋を渡し合う。こうして、理想的なターゲットとなるのである。

————————– (以上Le Figaro 訳/要約AKI)

最近までこんな問題が起こっていたなどと全く知らなかったのですが、確かにあのBelleville界隈は以前もちょっと危険を感じる地域でした。中国人のお店が並び活気があるのですが、たまに怪しいおじさんがいたりして・・・。そしてそんなコミュニティーに更なる異文化が混ざりつつあるんでしょうね。フランス人はこの異なる文化の狭間でうまくコントロールを取ることができるのでしょうか。ここBellevilleもパリの中の飛び地のようですね。フランスにいながら、どこか違う国のニュースを聞いているかのようです。でも他人事ではありません。気をつけましょう。

観光大国と犯罪

観光大国フランス
世界で最も人気な観光国フランス。毎年8千万人前後の観光客が訪れるそうです。夏の観光シーズンともなると、パリ市内はフランス語よりも英語などの外国語のほうがよく聞かれ、「フランス人はどこ」というような感じです。ちなみに日本は毎年約5百万人あまりしか外国人の訪問者数がなく、フランスの18分の1 という低さです。

旅行目的地世界上位5カ国(2001年度)
1位 フランス
2位 スペイン
3位 アメリカ
4位 イタリア
5位 中国

世界観光統計(2001年度)

国際観光客到着数(1,000人単位) 国際観光収入(100万米ドル)
アジア
中国TF
33、167
17,792
タイTF
10,133
6,731
韓国VF
5,147
6,283
日本TF
4,772
3,301
インドTF
2,537
3,042
イランTF
1,402
1,122
ヨーロッパ
フランスTF
76,508
29,979
スペインTF
49,519
32,873
イタリアTF
39,055
25,787
イギリスVF
22,833
16,263
ロシアVF
21,169(2000年)
ドイツTCE
17,861
17,225
南北アメリカ
アメリカTF
45,490
72,295
カナダTF
19,697
10,774
ブラジルTF
4,773
3,701
中東
サウジアラビア
6,295(2000年)
3,420
エジプトTF
4,357
3,800
アラブ首長国連邦THS
3,907(2000年)
1,012(2000年)
アフリカ
南アフリカVF
5,908
11,746
チュニジアTF
5,387
2,707(2000年)
モロッコTF
4,223
1,605

出典: 世界観光機関(WTO)

TF: 国境での国際観光客到着数(日帰り旅行客を除く)
VF: 国境での国際旅行客到着数(観光客と日帰り旅行客を含む)
THS: ホテルおよび同様の施設での国際観光客到着数
TCE: 団体観光施設での国際観光客到着数

パリ市内観光
このようにフランスは世界有数の人気観光国。しかし、その反面、「外国人観光客に冷たい国」という評判も根強い。AFPの記事(2006年)によると、

無愛想なタクシー運転手、仏頂面のウェイター、分かりにくい道路標識。観光客にとっての「不親切さ」にことかかないといわれているフランスは、昨年2005年、観光客数760万人という目標を達成できなかった。
「確かにフランスは観光客数では世界一の国だ。だが、観光客にとっての『もてなし満足度』という点では世界最悪の国であることはほぼ間違いない」と語るの はRegional Committee for Tourism in Ile-de-France(北フランス地域観光委員会)理事長のJean-Pierre Blatt氏。

フランス人の不親切さは深刻な問題として捉えられていることが分かります。

観光競争力
またこんなおもしろいデータもみつけました。世界経済フォーラムが発表した「観光競争力ランキング」。これは、観光者数の数を計るのではなく、観光のための安全性、衛生、空港設備、公共設備、また観光保護政策などを重視し指標を打ち出すもの。2007年度の結果は以下の通り。調査対象国1124カ国。

「旅行・観光業の競争力レポート」2007年版のランキング

1 スイス
2 オーストリア
3 ドイツ
4 アイスランド
5 アメリカ
6 香港
7 カナダ
8 シンガポール
9 ルクセンブルク
10 イギリス
12 フランス
13 スペイン
25 日本
33 イタリア
42 韓国
43 タイ
60 インドネシア
71 中国

このようにフランスは外国人観光客を魅了する観光大国である一方、その競争力についての評価ではランクを下げてしまいます。ちょっと意外な結果です。

バイリンガルフレンチ警官
そこで見つけたのがこんな記事。

20ヶ国語を話す総勢125人の警官が外国人観光客のために配置される。あこがれていたパリに到着した観光客達が、悪夢の道へと陥れら れ、そして毎年何千人もの人々がパリの交番に駆け込んでくるのである。ビザ、パスポートの紛失、クレジットカードや小切手、現金の盗難。不安な気持ちが観 光客をパニックに導く。

そんな被害にあった彼らが知らぬ土地で絶望感を感じぬよう、警視庁が個人を受け入れる対策措置を設けた。20ヶ国語(英語、スペイン 語、イタリア語、ドイツ語、アラブ語、日本語、中国語など)そして手話を習得した警官125名をパリ全20区に配置。パトロール中には特定のバッジを身に つけ、困っている観光客の助けへと向かう。

まずは、被害者の質問に答え、一番近くの交番へと導く。そしてそこでこれらの警官は、仲間の警官と被害者の間に入り仲介役を果たす。

さらに、2004年から交番と警官隊の施設が外国人被害者の受け入れ口システムを整えている。

特に被害が多く起こっているエッフェル塔、トロカデロ、シャンゼリゼ、モンマルトルような場所は、治安部隊の協力で補強がなされてい る。またRERやメトロは犯罪者にとって最適な環境であり、観光客にとっては危険である。こういった場所での監視体制は増加しており、軽犯罪などの不正行 為取り締まりに力を入れている。

以上参考:フィガロ
訳 aki

日本人の被害
そんな中、おそらく一番被害を受けやすいのが日本人なのではないでしょうか。お金を持っていそうで、お人よし、安全な国から来ているので身近にある危険に鈍感。

犯罪被害件数は渡航者の多い北米やオセアニアに比べて、アジア、欧州の比率がかなり高いそうです。全体の74パーセントがこの二つの地 域が占めます。

特に欧州では、スリ、置き引き、引ったくりなどの手口が多く、スリに限っては世界のなんと62パーセント、アジアの2倍強という高さで す。(旅の基本情報 /治安を参考)

参考:外務省海外安全ホームページ

本当にヨーロッパというかパリはスリが多い。幸いまだ私はあったことがありませんが(たぶんお金をもってそうに見えないので、狙われな いのかな)、観光客が多いからスリも発生しやすいですよね。観光大国と謳われるフランスも、ふたを開 けてみるといろんな問題がたくさん。皆さんも気をつけてください。

ハッピースラッピング

Happy slapping

ハッピースラッピングとは不意打ちにある人物を襲い(スラッピング=平手打ち)、共犯者が携帯電話などでその襲撃をビデオに撮るという 行為を言います。この言葉の特徴はその襲撃を遊びのように見せかけるというところにありますが、危険な暴力や窃盗などにもつながることもあり、また現代のいじめにもつながっています。

もともとこのハッピースラッピングというのはロンドンの南で生まれた言葉で、ハッピースラッピングの様子を何十人もの人々と一緒に見る というテレビ番組の形として生まれました。

こういった行為を行なう人たちは、その襲撃はあくまでハッピースラッピングで、ただの冗談だと主張します。

犯罪をビデオにとるということ自体、奇妙な考え方なのですが、携帯電話に付いたビデオカメラの使い安さはこういった襲撃の準備をとる手間を省き、後で簡単に映像を眺めまた面白半分にそれを他人へと回すことを可能にさせてしまいました。

フランスでの事件

2006年4月24日、Porchevill(Yvelines)の高校である教師が襲撃されました。そしてその容疑者はすでに一年の禁固刑を受けています。そして今年(2007年)6月、その襲撃の様子をビデオに撮ったという罪で19歳の高校生に3ヶ月の禁固刑が下されました。その映像は二人の容疑者の住む町で人から人へと回されたということです。

ビデオを撮ったT被告:
≪携帯電話のボタンを押したらすぐに、ビデオを撮り始めていた。何の理由も意図もなく行動していました。こんなふうになるなんて考えもしなかったし、自分の行動を後悔しています。≫

穏やかな口調でT被告は、「仲間の一人が高校の教室で教員を襲っているにもかかわらず、携帯を取り出した。」と、その日のことを法廷で説明。

T被告はまた法廷で事の重大さに呆然としているとも述べた。≪今日、学生はみんな学校で携帯を使用している。私も、自分の携帯を取り出 しそしてボタンを押しました。それがこんな結末になるなんて思いもよりませんでした。≫

しかし一方で、検察側は、「被告の無道徳で危険な行為」「ビデオを撮るのに13秒もの長い時間をかけた。」と事件を思い起こし、危険に さらされている人を助けなかったことと、プライバシーの侵害で被告に12ヶ月(うち3ヶ月の禁固)を要求した。

被害者教員の弁護士は被告人の態度を非難。このあさましい事件の詳細から被告人は逃れることはできないと説明し、10,000ユーロの 賠償金を求めました。

T被告の弁護士は、何も前科をもたない者と主張した上で、これは軽犯罪にはならないと事態を和らげた。彼は馬鹿な行動をとってしまい、 その上、他の生徒に映像を盗まれ、そしてそれがメディアに流れてしまったのだ。

このように、ハッピースラッピングという携帯電話のビデオカメラ機能を使った襲撃というのは教育機関の中心やその周辺で起こっており、 そしてまた調査によると3つのタイプがあるとフランス教育省が発表しています。一つは頭に平手打ち、偶発的乱闘殴り合い、そして用意周到な襲撃と挙げられ ます。

2007年5月から、暴力行為をビデオなどの画像に撮ったりする事はフランスでは軽犯罪とみなされるようになり(メディアは含まれません)、また、学校などにも危険な遊びや暴力行為などに関するパンフレットが配布されました。

2007年4月19日には、リヨンの有名中学校近くでも二人の未成年による乱闘があり、周りにいた傍観者の一人がその場面をビデオに 撮っていました。こういった映像を流すと、5年の禁固刑と75、000ユーロの罰金になります。

happy slapping

以上 記事:2007年6月 仏語フリーぺーパー metro
訳:aki

影響されやすい子ども達

便利なはずの携帯電話がこんな犯罪に使われてしまうのはとても悲しいことですね。電話という目的から大きく外れて、さまざまな機能を持 つようになった携帯電話。本当に全ての機能が必要なのかどうかたまに考えることもあります。使わない機能がどれだけあることか(私の場合)。でも、いろん な機能を持っていることがかっこいいと思ってしまうんですよね、きっと。生活を楽にまた豊かにするために、いろんなものが開発されてきましたが、今は無意味なものを作りすぎて逆に社会を複雑にし人間を堕落させてしまっているような気がします。

暴力などの残虐な映像を平気で携帯カメラで撮れるという心理はどう考えても異常です。それを可能にしているのは、やはり普段からテレビ や映画、またゲームなどで同じようなシーンを見ているからだと思います。感覚が麻痺しているんでしょうね。判断力のない子ども達を、マーケティングの対象 にしてものを作っている大人というのは少なからず責任があると思います。日本なんてまさにそんなマーケティング大国。

子どもというのは良くも悪くも簡単に影響されるもの。その子を見ていれば、その子のいる周りの大人が見えてきます。そして周りの大人が どんなふうか見れば、その子どもの様子も見えてきます。